映画「ノマドランド」を見た。
家を持たずに車で寝泊まりしながら旅をする。
定職に就かずに移動しながら仲間との絆を深めていく。
自由とは何か、夫婦や家族、老後の人生について考えさせられた。
実話に基づいているようで、心理描写や風景描写も丁寧で美しかった。
きれいごとばかりではない、自由の国アメリカの厳しさも垣間見た。
30年近く前の大学生の頃にバイト代を貯めて、一人でアジアを旅していた。
そのころを思い出した。
毎日、目的地も決めずに春休みの2か月間を使って旅をした。
タイ、インド、ネパールそしてタイから日本に戻ってきた。
様々な出会いがあり、発見があった。
義務教育の敷かれたレールからはみ出して、一年浪人し、希望ではない大学に
入ってみたが何かむなしさを感じでいた自分の中で何かがひらめいた。
毎日が刺激にあふれていた。
日本に帰ってきてからも、大学そっちのけでバイトをし休みになると旅に出かけた。
中国、ラオス、ベトナム、カンボジア。
様々な国を自分の足で歩き、国境を越えた。
日本社会にいて、会社勤めをしていると、どうしてもそのころの自由さや、
自由の厳しさを忘れてしまう。
何か常にやることに終われ、一日があっという間に過ぎる。
それは、自らが形作ったものではない場合が多い。
社会のシステムに取り込まれ、歯車の一つとして動いている。
個々に割り当てられた役目を全うしている。
アメリカの広大な道を自分で加増したバンで走る主人公の女性の背中に
忘れていた、学生の頃の一人旅をしていた自分を思い出した。
子育てもひと段落した今、住宅ローンさえなんとかできれば、
自分もノマドになれるのではないか。
別に、決まったレールや社会システムの中でずっと生きていくだけが人生ではない。
ただ、自由になることはとてつもなく厳しいし、覚悟がいる。
一つの映画が忘れていた自分と、これからの自分を考えるきっかけをくれた。
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